miの独り言

クリスタルパレスを応援する大学生の独り言です。

【選手紹介】パレスを救う救世主に。ミシー・バチュアイの素顔に迫る

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1月31日、冬の移籍市場閉幕直前に1人の‘’英雄‘’がクリスタルパレスに加入した。

 

バットマン”ことベルギー代表FWミシー・バチュアイだ。

 

ストライカー陣の得点力不足に悩むパレスだが、彼の加入は果たしてパレスにどのような影響を及ぼすのか。"救世主"となる可能性を秘めた彼の素顔に迫っていく。

 

 

基本情報

 

国籍…ベルギー

 

生年月日…1993年10月2日

 

出身地…ベルギー・ブリュッセル

 

身長…180cm

 

体重…78kg

 

ポジション…FW

 

キャリア

 

ブリュッセルFCとRSCアンデルレヒトの下部組織でプレーした後、2008年にスタンダール・リエージュへ加入。2011年2月20日に行われたKAAヘント戦でトップチームデビューを果たすと、2013-14シーズンにはジュピラー・プロ・リーグで21得点を記録し、得点王になった。

 

2014-15シーズンには移籍金600万ユーロでリーグ・アンオリンピック・マルセイユに加入。翌シーズンにはリーグ戦で得点ランキング4位タイの17ゴールを挙げる活躍を見せた。

 

そして2016年7月に移籍金3900万ユーロで現所属元のチェルシーFCへ5年契約で移籍。シーズン初年度はジエゴ・コスタから1トップのポジションを奪えずベンチを温める日々が続いていたが、2017年5月12日のWBA戦では決勝点となるゴールを決め、プレミアリーグ優勝を決定づけた。翌シーズンには主力だったジエゴ・コスタが退団したもののレアルマドリードからアルバロ・モラタが加入。先発の座を確保することができなかった。

 

そして2017-18シーズンの後半にはボルシア・ドルトムントへレンタル移籍。今シーズンは1年間のレンタル移籍という形でバレンシアCFへ再びレンタル移籍するものの、23試合3ゴールと結果を出せずに半年でレンタルを打ち切りに。残りのシーズン半分をパレスで過ごすこととなった。

 

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また、ベルギー代表では2015年3月28日のEURO2016予選、キプロス戦に途中出場してデビューを飾ると、その試合で代表初ゴールを記録。2018年FIFAワールドカップロシア大会では、1次リーグ第2戦チュニジア戦で1ゴールを決めた。

 

 

 なぜパレスはバチュアイを欲したのか?

 

 

ではなぜパレスはバチュアイを今冬の移籍市場で獲得したのだろうか?その謎を探るべく今季前半のパレスのストライカー陣の出来を振り返っていく。

 

ロイ・ホジソン体制2年目となるパレスは、昨年から継続して個の能力の高い選手に依存した攻撃と堅守をベースにしたサッカーを披露。リーグ序盤戦は4-4-2をベースにしており、攻撃面では大黒柱ウィルフレッド・ザハの相棒争いが注目されていた。

 

開幕節から4試合連続でザハの相棒を務めたのはクリスティアン・ベンテケ。持ち前のフィジカルを生かしたポストプレーでチームの攻撃を活性化させる助けにはなったものの、昨季から続く深刻な決定力不足は解消されず。第4節のサウサンプトン戦で膝の靭帯を負傷し長期離脱を余儀なくされた。

 

今夏スウォンジーから移籍したジョーダン・アユ―はベンテケの穴を埋める存在としてしばらくの間先発起用されるも、無駄なボールロストと決定率の低さからファンと監督の信頼を完全には得られず。1番期待されるのが相手選手への執拗なプレスとなってしまうくらい、前半戦はストライカーとしては残念な出来に終わってしまった。

 

昨冬鳴り物入りで加入したノルウェーの大砲アレクサンダー・セルロートはリーグ戦で全くいいところなく今冬の移籍市場でベルギーのヘントにレンタル移籍。早熟の天才コナー・ウィッカムFAカップ、スパーズ戦で得点を記録し復活の狼煙を挙げたかに見えたが再び負傷し戦線離脱。シーズンのある時期にはウイングを主戦場としているザハとアンドロス・タウンゼントが2トップを組む試合も観られるようになり 、チームのストライカー陣をもはや頼ることができない状況まで追い込まれてしまったこともあった。

 

そんなストライカー陣の不調を救うべく現れたのがかつて同じ街でプレーしていた経験もある“英雄”だったのだ。

 

プレースタイル
 

 

バチュアイのゴール集⇩

https://youtu.be/iMs_dtdXLZY

 

 

パレスでは基本的に[4-3-3]の3トップの一角として出場。身体能力が高く、バランスが崩れても強引にシュートを枠内に打つことができる。ライン間での駆け引きが得意であり、相手のセンターバックの間を一瞬の加速で抜き去りシュートまで持ち込める。またボックス内では純粋な高さ勝負で勝つ場面はあまり見られないものの、絶妙のポジショニングでフリーになれる間合いを取り、フィニッシュまで持ち込むことができる。

 

 

 

4-1で快勝した先日のレスター戦ではリーグ戦初先発を果たすと、ジェームス・マッカーサーのシュートコースを変えてパレスでのリーグ戦初得点を記録。バチュアイの驚異的な反射神経が凝縮された1点だったといえるだろう。

 

 

ただバチュアイは下がってボールを受けたがるタイプでは決してないため、ボールが前線まで回ってこない際に孤立する場面があるのも事実。また前線のプレスを積極的に行うのをあまり好まないため、ファーストディフェンダーとして守備のスイッチを入れる役割を期待することはできないだろう。

 

バチュアイの今後

 

 

 

前節のレスター戦の得点や他のストライカーの不調さも相まって、今後1トップの位置での先発機会が増えると予想。パレスへの完全移籍を望む声が現地サポの間でも高まっているが、先日所属元のチェルシーが来季補強禁止になるという憂き目に。買い取りオプションが付いていないレンタル移籍のため、来季以降の所属先はパレス側、というよりは相手側の事情によって変動することになるだろう。

 

 

 小ネタ

 

” バットマン”の異名がついている彼はスパイクにコウモリ柄のデザインを入れている。またスパイクのスペアにはアディダスのF50アディゼロ FG LEAを使用している。これは2011年頃に発売されていたやや古いモデルである。

 

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【了】

 

 

 

 

 

シーズン前半戦終了。今季のクリスタルパレスをプレイバックしてみた【MF・FW編】

※本記事は【DF.GK編】(https://mi-football.hatenablog.com/entry/2019/02/03/211021)の続きになっています。併せてお読みいただけると幸いです。

 

【MF編】

 

 

今夏の移籍市場ではヨハン・キャバイエ、そして今冬の移籍市場ではジョナサン・ウィリアムズ、ジェイソン・パンチョンとパレスに長く在籍していたMFが相次いで退団。しかしその穴を埋めてくれたのは他ならぬ新戦力2人の活躍があってこそといえるだろう。

 

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新戦力の1人目がウエストハムからやってきたセネガル代表MFシェイク・クヤテだ。キャバイエのような正確なロングフィード、精巧なミドルシュートを持ち合わせているわけではないが、その強靭なフィジカルを生かした攻守は魅力的。相手を寄せつけない「ゴリゴリ」のドリブルと1対1で負けないマークの激しい守備、そして193㎝という「高さ」の点でも相手に脅威を与えることができる。キャプテンのルカ・ミリヴォイェヴィッチと並んで今や中盤の核となっている選手であることに異論の余地はないだろう。

 

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もう1人の新戦力がシャルケからやってきたドイツの至宝マックス・マイヤーだ。フィジカルや個人技を強みにしている「大味」な選手が多い中で、細かいパス交換やスルーパスといったテクニック面で違いを生み出せる「繊細」な選手。DFと前線を結び付ける「リンクマン」的な役割を果たすことも多く、現チームにおいて唯一無二の存在感を持っている選手となっている。

 

だがロイ・ホジソン監督からの評価はあまり高くなく、ベンチから戦況を見守る時間が多くなっていることは否めない。チームメートとの連携を深めることでより真価を発揮できる選手なだけに継続的に彼を起用できない状況は残念だ。人気銘柄だけにこのまま出場機会が少ないと退団を直訴されてしまう可能性もあるが果たして…

 

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昨季以前から在籍しているMF陣にも言及しておきたい。一昨季前に加入以降、ほとんどの試合でフル出場を果たしている「鉄人」ルカ・ミリヴォイェヴィッチは今季も安定したプレーを披露。PKキッカーでもある彼は7回中6回のPKを成功し、現在のチームトップスコアラーになっている。当初2ボランチの一角で使われることが多かったジェームス・マッカーサーは序盤戦低調な出来だったが、サイドハーフのポジションで後に起用されると持ち味の運動量と斜めのランニングでチームの攻守に貢献。決定的なシーンを外す場面も今季はよく見られるが、インサイドハーフや左右のサイドハーフなど様々なポジションで安定した実力を発揮できるのは魅力の1つだ。

 

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そして既存戦力を語る上でサプライズの1つだったのがジェフリー・シュルップの中盤起用だろう。元々レフトバックを務めることが多かった彼だが、今季から本格的に中盤の位置にコンバート。視野の狭さや足元の器用さにはまだまだ改善の余地を残すが、積極的な縦への推進力と得点力の高さでホジソンからの信頼をつかみ取っている。

 

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また、昨季鳴り物入りでパレスに加入した期待の若手ハイロ・リーデヴァルトは今季1試合もリーグ戦に出場できていない。完全にチームから「構想外」となってしまった形だが今冬の移籍市場では他チームと折り合いがつかず、結局残留することに。来季以降もホジソン政権が継続することになれば放出は間違いないだろう。

 

【FW編】

 

 今季ロースコアの試合が多いパレスだが、その原因の1つにはストライカー陣の決定力不足を上げることができる。最前線の軸となれる選手が前半戦のうちに出てこなかったのは残念だった。

 

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昨季リーグ戦わずか3得点と不調の時を過ごしたクリスティアン・ベンテケ。今季は自慢のポストプレーの巧さを活かし、味方ウインガーインサイドハーフの動きを引き出した。だが開幕から4試合連続で先発を果たしたものの、膝の手術で1月まで長期離脱を強いられることに。現在は復帰して最前線のファーストチョイスとなっているが、依然として0ゴールなのは気がかりなところ。ボックス内での存在感は十分なだけに初ゴールが早く欲しい。

 

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2016年の長期離脱から実に約2年の時を経てピッチに戻ってきたコナー・ウィッカムは徐々にコンディションを上げてきている。1月のリバプール戦ではマイヤーの得点をアシストすると、FAカップ4回戦では待望の今季初ゴールを記録。「早熟の天才では終われない」という強い気持ちをピッチ上で証明した。また昨年の冬に鳴り物入りで加入したアレクサンダー・セルロートは1月からベルギーリーグのヘントにレンタル移籍。10番を背負っており既にゴールとアシストを記録しているとのことだが…。プレミアリーグでその勢いが通用するのかといえばまだその疑問は拭いきれない。今季途中交代が多かったとはいえ、そのくらい彼のプレーには覇気がなかったのだから。

 

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夏に加入したジョーダン・アユーも、リーグ戦わずか1得点と低調な出来だ。他のストライカー勢と比べるとウィルフレッド・ザハとの相性の悪さが随所に出ており、仲間からのパスもなかなか来ないシーンが当初は目に付いた。だがここに来て不用意なボールロストも少なくなり、持ち前のドリブルで相手を抜ききるシーンが多くなってきた印象。積極的な守備の姿勢も評価できるので2トップのオプションとしてハマると面白いか。

 

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そして移籍市場最終日に獲得したミシー・バチュアイはその得点力不足という課題を解決する1番の特効薬かもしれない。デビュー戦となったフラム戦では早速エリア内で強烈なシュートを放ち、シュルップのゴールをアシスト。トップレベルで戦ってきた経験も豊富で、密集したエリアの中で高精度のシュートを放てる彼は間違いなく貴重な存在になりうる。バレンシアではなかなか輝けなかったようだが、その鬱憤を晴らすかのごとくパレスで爆発してほしい。そしてその暁には完全移籍を…

 

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両ウイングは左にウィルフレッド・ザハ、右にアンドロス・タウンゼントというのが今季の鉄板になっている。ザハは言わずもがなの緩急を使ったドリブルと体幹の強さ、スピードで対面の相手を圧倒。前半戦は3得点とやや鳴りを潜めていたものの、直近(2月11日現在)では2ゴール1アシストを記録。エースが活躍すれば自然とチームの勢いも上向いてくることだろう。

 

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そして正対するアンドロス・タウンゼントは今季目覚ましい飛躍を遂げている。持ち前のカットインや高精度のクロスは勿論のこと、今季はシティ戦に代表されるような試合を決定づけるゴールを数本決めている。ピッチ内での数字に残らない場面でなく、明確な結果を残し真の「10番」になってきつつある印象だ。ウエストブロムから期限付き移籍という形でチームに復帰したバカリ・サコは昨年の大怪我以降コンディションを戻すことに苦労している模様。ただ元々薄かったサイドプレイヤーの層が厚くなること、そして持ち前の明るさでロッカールームが明るくなることを考えれば素晴らしい補強と捉えることができるだろう。

 

出場機会が少ない選手たちを放出するだけでなく、チームに足りない部分を補強することができた今冬のパレス。フロント陣の働きは個人的に見れば100点に近い出来だ。フロント陣の頑張りを後はどこまで現場がピッチ上で表現してくれるか。まず最初に与えられたタスクは残留争いからの脱出だ。

 

 

【了】

 

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シーズン前半戦終了。今季のクリスタルパレスをプレイバックしてみた【GK・DF編】

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  2月3日現在、リーグ14位に位置しているクリスタルパレスは他チームからのサポーターからも一目置かれる存在になってきている。昨年12月にマンチェスターシティ相手に3-2で勝利した「エティハドの奇跡」を起こすと、今年1月のアウェーのリバプール戦では敗れはしたものの4-3と奮闘。いわゆる「ビッグ6」に対しても十分戦えるチームであることを証明できた。

 

 ただその一方で90分を通して安定感が伴っていない試合が多かったのも事実である。同じ中堅クラブ同士の対戦では、幸先よく点を取ったはいいものの安易に逆転を許してしまう、ペナルティーエリアの中までうまく侵入してもなかなかシュートが枠に入らない等……。良いゲームと悪いゲームの差が激しかったシーズン前半だということもできるだろう。

 

 本記事ではそんな浮き沈みの激しかった前半戦のパレスを選手のポジションごとに分けて総括していく。

 

【GK編】

 

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今夏の移籍市場ではリーガエスパニョーラに所属するヘタフェから、「リーガ最高のGK」の1人とまで評されるビセンテ・グアイタを獲得。昨年まで正GKを務めていたウェイン・ヘネシーとのポジション争いが開幕節前には注目されたが、かねてからホジソンからの信頼が厚かったヘネシーが定位置を確保。ハイボール処理や判断ミスなど安定感に欠けた昨シーズンまでとは違い、今季はリーチの長さを生かした好セーブを披露。チームの堅守に貢献し、昨年11月にはクラブの月間最優秀選手賞を受賞した。

 

しかし好調を維持していたヘネシーが12月に背中の負傷で離脱。そんな彼の穴埋めを託されたのが先述したビセンテ・グアイタだ。デビュー戦となったホームのレスター戦では再三攻めこまれる苦しい展開が続いたものの、驚異的な反射神経と横っ飛びで好セーブを連発。そしてジェイミー・ヴァーディとの1対1を「ポスト」で防ぐという強運を持ち合わせていることも証明した(なお、この試合の後出場した全7試合で相手のシュートがポストに当たる場面を数回確認している)。現在では正守護神の座をしっかりと確保している。

 

 

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そんな安定感抜群だった両GKが1月のリバプール戦を前に負傷の影響で緊急離脱。このピンチに立ちあがったのが2004年からパレスに在籍している39歳の大ベテラン、フリアン・スペローニだ。しかしリバプール戦では実践感覚のなさからか、精度の低いゴールキックを蹴ったり、飛び出しのタイミングを誤るなど失点につながるミスを犯してしまう。そしてヘネシーとグアイタの両GKの負傷が癒えないままFA杯スパーズ戦を迎えることに。パレスの歴代出場記録を塗り替えることによる称賛の声が上がるとともに、一部では彼のプレーを心配する意見が見られた。

 

だが彼は既にそういった心配から心を切り替えていた。チームの最後尾から声をかけ続け、絶妙に相手との間合いを詰めて決定機を阻止し続けた。その結果スパーズ相手に2-0の完封勝利を収め、この試合のMOMに選出。ベンチに入る機会は限定されているものの頼りになる大ベテランには頭が下がる思いでいっぱいだ。

 

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さて、そんなパレスのGK陣だが今冬新たな新戦力が加入した。U-23ブラジル代表に選出されており、ブラジルの名門フラメンゴで育ってきたルーカス・ペッリだ。身長197センチという大柄な体を生かしたセービングが持ち味…とのことだが、まだそこまで詳しくプレーを見ているわけではないので現時点での評価は難しいというのが正直なところ。

 

ただペッリは21歳とまだ若く、彼のローン契約条項には買取オプションが付帯している。現行契約が今年度で切れるスペロー二は退団が既定路線だが、もしヘネシーとグアイタのどちらかを放出するのであれば少し勿体ない感じもしている。ペッリが見せてくれるプレーと同時に、来季のGK陣の人員整理には注目が集まるところだ。

 

【DF編】

 第25節を終えた段階でのクリーンシート数は「9」。プレミアリーグに所属するチームの中でもパレスはトップ5に入る無失点数の多さを誇るが、その原動力は間違いなく最終ラインにあるといえるだろう。

 

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ジェームズ・トムキンスとママドゥ・サコのCBコンビは昨年と変わらず抜群の安定感を誇る。当たり負けしないフィジカルの強さは勿論、相手のマークを外さない集中力と絶妙な両者のポジショニングが鉄壁のディフェンスの秘訣でもある。

 

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特に今季はママドゥ・サコの成長が印象的だ。2シーズン前と昨シーズンは怪我に悩まされていたこともあり出場機会が限定されていたが、今シーズンはほとんどの試合にフル出場。そしてその特筆すべき点はビルドアップ能力の高さだ。ぎこちないステップで相手を翻弄し対面相手をかわすこともあれば、味方の足元にピタッとつける高水準のグラウンダーパスを供給する。不器用なフォーム故にそういった攻撃への意識が時にミスにつながることもあったが、今シーズンは「やや」研ぎ澄まされた「判断力」の部分でそういったミスを防げている印象。今のパレスにおいて、最終ラインから攻撃を作ることのできる唯一無二のセンターバックであることは間違いない。

 

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リーグ戦ですべての試合に出場しているパトリック・ファン=アーンホルトも絶対的な存在だ。大外に開くことの多い左サイドのウィルフレッド・ザハとの縦関係のコンビネーションは既に円熟味が出てきており、パレスの攻撃を支える屋台骨の1つとなっている。一方で守備の軽さやマークの緩さは一向に改善する気配がなく、1月のリバプール戦では彼のサイドを集中的に狙われたことも敗因の要因となっている。対戦相手の強さに応じて彼のタスクを使い分けてあげたいと感じる。

 

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そして何と言ってもプレミアファン注目の右サイドバック、アーロン・ワン=ビサカの安定感には感服するばかりだ。ほぼすべての試合で対面する相手をシャットアウトし、課題であったクロス精度も少しずつではあるが向上している印象である。リーグ戦のタックル成功数ではランキング1位を記録しており、whoscored.comの前半戦ベスト11にも選出。3月のイングランドA代表への召集の噂もあり、まさに充実の時を過ごしていると言っていいだろう。(※過去に執筆したワン=ビサカの記事は記事末尾に添付しております。)

 

 

また控え選手の層も充実している。昨季まで長く右サイドバックのスタメンを張っていたジョエル・ウォ―ドはカップ戦やワン=ビサカの欠場時にも安定したプレーを披露。スピードに乗ったドリブルはやや苦手な印象だがクロスの質には定評がある。マーティン・ケリーや昨季負った重傷から復帰したスコット・ダンも共に典型的な「人に強い」英国産タイプのセンターバックであり、確実に計算できる選手。先発から控えまで一定の実力が備わったDFが控えているのはパレスの強さの一つになっている。

 

(MF・FW編に続く)

 

 

※過去に執筆したアーロン・ワン=ビサカの記事はこちらです↓

 

 

 

 

【了】

 

 

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パレスの魔法使い “ジョニエスタ”が残した最後のメッセージ

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1月4日、クリスタルパレスFCはある選手の退団を発表した。

 

その選手はジョニー・ウィリアムズ。身長が168センチと小柄なこと、細かな足技や高いパスセンスを持ち味としているところ、そして頭髪が似ていること(?)から名手アンドレス・イニエスタになぞらえて"ジョニエスタ”の異名が付けられている。

 

そして彼はユース時代から数えると実に17年間もの間パレスに在籍していた数少ない生え抜き選手の一人でもある。在籍した17年の中では1部昇格からチャンピオンシップ降格の危機、また15-16シーズンのFA杯決勝進出などパレスにおける数々の重要な瞬間に立ち会ってきた。

 

パレスでの17年間でフットボールの酸いも甘いも知った男が、退団前最後のインタビューで胸の内を語った。

 

 

 

 

 「不思議な感覚だね。このクラブから離れてしまうことが未だに考えられない。僕はこのクラブで様々な思い出を作り、今後の人生において連絡を取り合うことになるだろう素晴らしい友人達と出会うことができた。そう、パレスは僕の人生そのものなんだ。」

 

そう言ってゆっくりと口を開くと、彼は自身とパレスの過去を懐古し始めた。

 

「今でこそプレミアリーグに相応しいクラブだと思うけれど、パレスは浮き沈みが激しいクラブだったね。パレスが2部から昇格できるかあるいは降格してしまうか、といった時期に僕はこのクラブでプレーし始めた。その時もしパレスがシェフィールドウェンズデイに敗れてしまっていたら、僕は他のチームを探していたかもしれなかったんだ。」(2010年当時、パレスはこの試合に敗れればリーグ1に降格してしまう絶体絶命の状況だった。)

 

「これはジョークじゃない、本当のことなんだよ!(笑)でも先日のウルヴス戦を見てわかる通り、パレスはその時よりも遥かに良いチームになっている。これは今までパレスで指揮を執ってきた監督たちのおかげだと感じるよ。」

 

 

  11-12シーズン開幕前。ジョニーはユース時代の突出したパフォーマンスが認められて18歳の時にトップチームに昇格。2011年8月16日のコベントリー戦に途中出場でトップチームデビューを飾ると、翌週のリーグ杯でフル出場を果たす。そして翌月のリーグ杯対ウィガン戦において、プロ初得点を挙げた。

 

「ホームでの対コベントリーのデビュー戦が僕のパレスにおけるハイライトだ。ドギー・フリードマン(当時のパレスの監督)が残りの20分間で僕を起用してくれた。僕が投入された時は1-0で負けていたけれど、その後2ゴールを奪ってチームは逆転に成功したんだよ。」

 

翌年の12-13シーズンには幾らかの負傷離脱があったものの、パレスのプレミアリーグ昇格に大きく貢献。ファンが選出するチーム最優秀若手選手賞を受賞した。

 

そしてその翌年には念願のプレミアリーグの舞台に立つことになる。

 

「昇格プレーオフの決勝に出場することは僕が子供の頃に夢見ていた舞台そのものだったんだ。19歳にして僕の人生の夢が叶った瞬間だった。その日の夜はとてもじゃないけど眠ることなんてできなかったよ!かつての昇格プレーオフ(03-04シーズン)でパレスはウエストハムを破ったけれど、その試合は観に行っていたし、ビデオテープが擦り切れるくらいそのゴールシーンを見たんだ。そんな歴史的な出来事をまさか僕達が成し遂げられるなんて!その瞬間はただの勝利以上のものだったよ。」

 

プレミアリーグでデビューを飾った日もまたキャリアの中で忘れられないものだったね。パレスのシャツを着てプレーすることは僕のキャリアを特別なものにしてくれたんだ。」

 

しかし、その後は怪我の影響などもあり思うように出場機会を得ることができず。イプスウィッチタウンやノッティンガムフォレスト、サンダーランドなど様々なクラブをレンタルで転々として回った。今シーズンはパレスに残留したものの結局リーグ戦に出場することができず、リーグ1に所属するチャールトンアスレティックに完全移籍することとなった。

 

 

 

 

最後に、ここまでパレスでの印象的な思い出を語ってくれたジョニーに改めて現在の心境を述べてもらった。

 

  

 

 「毎日両親に連れられて、バスで毎日練習場に向かう…。8歳の頃からこの生活を続けてきたから僕の生活の一部と言っても過言ではないよね。パレスが僕の夢を叶えさせてくれたんだ。そしてクラブが出場機会を与えてくれたおかげで、こうやって年を取っても自分自身で道を切り開いていくことができた。

 

パレスにおけるキャリアでは僕自身コンディションの浮き沈みが激しかったけれど、赤と青のこのシャツを纏ってこのような経験ができたこともまた僕にとって大きなことだったし、ある意味で夢でもあったんだ。ピッチに立っている時も怪我をしている時もファンはいつだって素晴らしかったね。

 

長きにわたって僕のことを支えてくれた人々には感謝してもしきれない。彼らの支えがあったからこそ、辛い時期を乗り越えることができたし、それが僕の復帰への原動力にもなった。パレスに関わる全ての人が上手くいくように祈っている。きっとセルハーストパークで試合を観るためにこの場所に戻ってくることもあるだろう。パレスは僕にとって特別な場所だった。いつかきっと僕はここに帰ってくるよ。」

 

 

ピッチ上の魔法使い”ジョニエスタ”は新天地でどのような輝きを見せてくれるのか。赤と青の魂を持った男のnew chapterは始まったばかりだ。

 

 

 

【了】

 

 

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パレスが起こした「エティハドの奇跡」 その時僕は「真っ白」になった。

  

 2018年12月23日日曜日午前1時53分。クリスタルパレスマンチェスターシティ戦試合終了の笛を聞いて、僕は「真っ白」になったーー

 

 

 

 

 「真っ白」という表現は、僕のあの日の心情を表すのに不適切かもしれない。ただ嬉しさとか喜びとかそういった単純な気持ちでは言い表せないものだった。あえて詳しく言いかえるならば、興奮のあまり気持ちが整理できない状態とするのが妥当だろうか。

 

 興奮のあまりその感情を100%思い出すことはできないが、少なくともそこに理性はなかったことは覚えている。

 

 過去の自分を振り返ったり語ったりするのはあまり好きじゃないのだが、今回だけはそんな「特別」な試合に対して自分の率直な気持ちを記したかった。

 

 「エティハドの奇跡」 それは僕にとって生涯忘れられないであろう出来事だ。

 

 

 対戦相手マンチェスターシティについて

 

 

 

 この出来事を語る前にまず1つ確実に言えることがある。それは今季戦った中でマンチェスターシティはどのチームよりも完成度が高かった、ということだ。

 

 とにかく攻撃のバリエーションが多い。守備ブロックの中で浮く場面が多かった左サイドのレロイ・サネを起点に攻撃が作り出されることが多かったが、シティの攻撃陣はホジソンが仕込んだ4-5のブロックを蛇のようにするすると抜け、どこからでも自由自在に攻撃を仕掛けてくる。加えて彼ら個人の圧倒的な「個」のスキル、運動能力の高さも随所に感じた。

 

 シティの強さについて言うべきことは他にもたくさんあるが、とにかく恐ろしく強かった。そして普通であればまず負けていた。だからこそこれは「奇跡」なのだ。

 

 

 「想定内」の立ち上がり

 

 22日午後23時スタメン発表。スタメンの座を確固たるものにしていた中盤の1人シェイク・クヤテが欠場し、代わりにジェフリー・シュルップがスタメンに入った。

 

 強いフィジカルと予測能力で中盤の守備を引き締めることができるクヤテの負傷離脱は大きな痛手。今季軽率なプレイが多いシュルップにはさほど大きな期待を持てなかった、というのがその時の率直な気持ちだった。

 

 その90分後、僕はシュルップの背番号「15」枚分の反省文を書かなければならないくらいの感謝と謝罪の気持ちを彼に抱くことになるのだが…。

 

 いずれにせよ、シティに勝てる道筋を見つけられない「いつも通り」のメンバーだったことに疑いの余地はなかったのだ。

 

 

 

 そして23日午前0時キックオフーー。

 

 開始直後からシティのテンションは高かった。息を飲む間もないような速い攻撃。圧倒的なクオリティーの高さには、敵ながら芸術点をつけたくなるほどだった。

 

 そして前半28分イルカイ・ギュンドアンのヘディングでシティが先制。

 

 悔しいなんて気持ちはなかった。ただただ力の差を感じる。ラップトップの前で静かに、滑らかに指を動かし、僕が管理しているパレスジャパンのアカウントでシティ得点のアナウンスをした。

 

 「まあ、こんなもんだよな。」

 

 ここまではむしろ「想定内」の出来事だった。

 

 しかし「奇跡」の前兆が訪れるのはそのわずか5分後のことだった。

 

 

 異変と動揺

 

 最初の事件は前半33分。今僕がロンドンに行けるとしたら、真っ先に謝罪の意を述べなければならない男がやってのけた。

 

 「ジェフリー・シュルップははっきりいって技術的にそんなうまくない。視野も狭い。身体能力に頼った典型的なアスリート型のサイドプレイヤー。」

 

 シュルップのプレースタイルを端的にいうと?と聞かれたときに僕が答えるであろう回答だ。この回答を修正するつもりもないし、今後もそう答える可能性は高いだろう。

 

 ただ忘れていたことが1つあった。

 

 それは「意外性」だ。

 

 もう少し具体的にいうと、謎のポジショニング、謎のドリブル…、そして謎の得点力だ。

 

 総合的な中盤の選手の能力という点でいうとクヤテの方が秀でている。ただマークに付いていたカイル・ウォーカーが多少ルーズだったとしてもあんな冷静に、左足を振りぬいてサイドネットを揺らせる男がいるのか?? そう、彼は「持ってる男」なのだ。

 

 とにかく驚いた。しかもあれがパレスのファーストシュート。得点力不足にあえいでいる今季とは全く異なる滑り出しだった。この時少しばかり異変を感じた。

 

 

 今日、いつもと違うなーー

 

 

  そして2つ目の事件は僕が感じた異変の確実性を証明するのに十分だった。

 

  伏兵シュルップのゴールからわずか2分後。相手のクリアをそのままタウンゼントがダイレクトで打ち返した。テレビゲームでも実現するのが難しいゴラッソだ。リプレイでもう100回ほどは見返したであろうスーパーゴールをリアルタイムで目撃したとき、途轍もなく鳥肌をたてたことを生々しく覚えている。

 

 僕は叫ばざるを得なかった。そしてシティ相手に逆転した、という「事実」がまた僕の心を「動揺」させた。

 

 

 

 気持ちが落ち着かぬまま前半が終了。ただ残り時間が45分あることも当然認識していた。控えにアグエロやデブライネなど主力級の選手を備えているシティにやすやすとは思っていなかった。

 

 

 そして運命の後半45分が始まったーー

 

 

 夢が現実に

 

 後半立ち上がり。シティはオタメンディに変えてアグエロを投入。攻めの姿勢を見せて勝負に出る。

 

 しかしその攻守のバランスを変えた一瞬の隙をパレスが突き3つ目の事件が起こる。エリア内まで侵入したマイヤーをウォーカーが倒してパレスにPKが与えられる。

 

 この時全パレスサポはあの場面を思い出しただろう。昨年末のシティ戦。後半終了間際にPKをもらったものの、ルカ・ミリヴォイェヴィッチが放ったシュートはエデルソンにセービングされた。あのときは「奇跡」を起こし損ねてしまったのだ。

 

 そんな僕たちの不安を吹き飛ばすかのように彼は冷静に、力強くペナルティを沈めた。1年ぶりの雪辱を我がキャプテンは果たし、スコアを1-3とした。キャプテンが拳を突き上げ、喜びを爆発させる。その表情は自身に満ち溢れていた。

 

 2点差。あのシティから。狂ってしまいそうだった。ペップ・グアルディオラが焦っている姿が映し出された。本当に僕らは王者を追い詰めている。落ち着いて座って観戦することなどできるはずがなかった。

 

 夢が現実に近づいている。それに比例して僕の心拍数も上がっていった。

 

 その後はシティの怒涛の攻撃が続いた。特にデブルイネの投入は、1段階にとどまらず3段階ほど彼らのギアを上げた。彼を起点にチームが循環し、アタッキングサードから正確無比なパスとクロスをボックス内に打ち続ける。そして後半40分には彼のクロスが直接ゴールに吸い込まれてしまった。

 

 静まりかけていたエティハドが再び盛り上がり始めた。雰囲気に飲み込まれてしまうのではないか。それでもパレスの選手たちは冷静だった。ラインを崩さなかった、足がつりそうになりながらも懸命に走り続けた。

 

 

 

 

 そして1時53分、試合終了の笛が鳴ったーー。

 

 

 その時「真っ白」になった

 

  終わった。本当に勝ったのだ。

 

 正気ではいられなかったから物に当らざるを得なかった。だから思わず近くのソファーを思いっきりグーで殴った。

 

 様々な気持ちがこみ上げるのをぐっとこらえて、パレスジャパンのアカウントで試合結果をツイート。すぐに多くの人から反応が来たが、その時点で具体的なリアクションを出すことができなかった。

 

  「真っ白」になったからだ。その時点では気持ちの整理がつかなかった。勝利した余韻に浸っているのだが、いつもの勝利とは違う……。得も言われぬ感情に、試合終了後僕は浸食されていた。

 

 ただ1つだけ僕の心の内でずっと思うことがあった。それは選手たち、監督、サポーター、スタッフ…。パレスに関するすべての人が「最高」であるということだ。それ以外の感情を僕は具体的に持ち得ることができなかった。

 

 

 普段は勝利の余韻に浸りながら快眠できるのだが、「真っ白」なまま眠れるはずもなく…。おそらくあの日は3時間くらいしか寝ていない。その結果、翌日のインターン先の電車に乗り間違えてしまい、大幅に遅れてインターン先に到着。僕の顔は「真っ青」になってしまった…。

  

 

 

 

 複合的な要因が数ある中で生まれた今回の勝利。様々な偶然が重なった勝利。この試合は決してデータに基づいた勝利ではない。

 

 「理論」づくめではなく「魂」で勝つサッカー。それに加え、このチームには何か大きなことをやってのける不思議な力がある。だから僕はクリスタルパレスが好きなんだ。

 

 改めて僕がクリスタルパレスを好きたる所以を知らしめてくれる試合でもあった。

 

 これからも僕はこの「最高」のチームを応援し続けていく。

 

 

 日本よりサウスロンドンへ愛をこめて。 

 

 

 【了】

 

【採点】クリスタルパレス対レスター

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12月15日土曜日、プレミアリーグ第17節の試合が各地で行われ、クリスタルパレスはホームにレスターを迎えた。

 

ウィルフレッド・ザハとジェームズ・トムキンスという攻守の要をサスペンションにより欠くことになったパレス。更に開幕からゴールを守り続けてきた守護神ウェイン・ヘネシーも負傷離脱。ザハとトムキンスの代役にはジョーダン・アユーとマーティン・ケリーが、ヘネシーの代役にはリーグ戦初出場となるビセンテ・グアイタがそれぞれ名を連ねた。

 

まずは前半24分。ルカ・ミリヴォイェヴィッチのロングパスをアユ―が収めてPA内に侵入。そのまま左サイドからクロスを上げるも、ゴールネットの上をかすめてしまった。

 

続いて28分。ミリヴォイェヴィッチのバックパスをグアイタが受けるも、ジェイミー・ヴァーディの強いプレスによりボールを奪われ、ボールはゴールネットの中へ。しかしこのプレスがグアイタへのファールとみなされ、ノーゴールとなった。

 

そして前半39分、待望の瞬間が訪れる。右サイドでボールを持っていたアンドロス・タウンゼントからボールを受けたミリヴォイェヴィッチが右足を一閃すると、ボールはゴール右隅に吸い込まれる。ミリヴォイェヴィッチのゴラッソにより先制に成功した。

 

後半33分にはこの日最大のピンチを迎える。イヘアナチョからのダイレクトパスを受けたヴァーディが抜け出すと、フリーの状態でシュートを放つ。しかしこれにグアイタが反応し、間一髪で右手に当てる。リフレクションしたボールはゴールポストにはじかれて、グアイタの元へ。素晴らしいセービングを披露し、チームのピンチを救った。

 

試合はこのまま1-0で終了し、パレスは3試合ぶりに勝利。次節、パレスはアウェーで昨季のプレミア王者マンチェスターシティと対戦する。

 

 

【選手採点】

 

 

GK ビセンテ・グアイタ…7.5

 

リーチの長さや反射神経はヘネシーに劣るものの、リーガ仕込みの高いキック精度が随所に見られた。勝負を決定づけるスーパーセーブも披露し、彼にとっては最高のデビュー戦に。

 

 

CB ママドゥ・サコ…7.5

 

この日も粘り強い守備を披露し、チームの零封に貢献。質の高い縦パスを供給し、攻撃の潤滑油としても活躍。

 

 

CB マーティン・ケリー…7.5

 

約2ヶ月ぶりの出場にもかかわらず、試合勘の衰えを感じさせないプレーでチーム内MOMに選出。トムキンスの穴を見事に埋めてみせた。

 

 

 

LB パトリック・ファン=アーンホルト…6.0

 

 

何度か相手に裏を取られるなどまずい対応もあったが、決勝点の起点になった「走り」を評価。

 

 

RB アーロン=ワン・ビサカ…7.0

 

 

後半に入ってからの対面したオルブライトンへの対応は流石の一言。相手の動作を読みきる力が素晴らしい。

 

 

CM シェイク・クヤテ(後半19分out)…8.0

 

 

怪我の影響で早々にピッチを去ることに。ただ相手のキーマンであるマディソンを完全に封じ込めるなど、中盤での存在感は抜群だった。

 

 

CM  ルカ・ミリヴォイェヴィッチ…8.0

 

 

停滞していたチームの雰囲気を吹き飛ばすようなゴラッソを決め、殊勲の働きを見せた。

 

 

LM マックス・ マイヤー(後半47分out)…6.5

 

 

ボールに触る機会はそこまで多くなかったものの、持てば随所に面白いプレーを見せてくれた。献身的な守備も評価。

 

 

RM ジェームス・マッカーサー…6.0

 

 

攻撃面では違いを生み出せなかったものの、何度か素晴らしいインターセプトを披露。後半途中から中央にポジションを移したものの、そつなくこなした。

 

 

 

CF ジョーダン・アユー(後半31分out)…5.0

 

 

ボールロストが多くフィニッシュの精度も欠いた。ポストプレーヤーとしての役割も果たせず、彼個人としては厳しい試合に。

 

 

 

CF アンドロス・タウンゼント…6.5

 

得意の突破からいくつかカウンターを生み出した。流れの中で随所に変化をつけられる貴重な存在。

 

 

 

LM ジェフリー・シュルップ(後半19分in)…6.0

 

負傷のクヤテに変わって左サイドハーフで出場。平均的な出来だった。

 

 

 

CF アレクサンダー・セルロート(後半31分in)…5.5

 

アユ―よりもボールは収まるが、ゴールに向かう姿勢がいかんせん消極的。冬には売却の可能性も……。

 

 

OM ジェイソン・パンチョン (後半47分in)…出場時間が短いため評価不能

 

 

監督ロイ・ホジソン……6.0

 

出場停止の2人をどう埋め合わせるかが注目されたが、結局いつもと変わらぬ4-4-2で試合に臨む。勝ったからよかったものの、負けていたら間違いなく批判の的になっていただろう。そのくらい「工夫」が感じられなかった。

 

 

【独り言】

 

 

何と言ってもザハなしで試合に勝った、ということ。これは相当「チーム」としての自信になったのではないかと思う。アユ―とセルロートでは到底彼の穴埋めはできないけれど、勝ち切ったことに意味がある。勝ち点「3」をとることの重要性を改めて痛感したゲームだった。

 

また前述したように冬の移籍市場でのストライカー獲得は必須。ボールが収まり、ザハとコンビネーションすることのできるという条件はほぼほぼ必須になるけれど、まずはゴール前でクオリティーを見せることのできる選手が欲しい。噂に上がっているデフォーは年齢も年齢だけに難しいけれど、半年ローンだったらありなんじゃないかと……。モーゼス復帰も大歓迎だけれど、優先順位を決めて交渉を進めてほしい。もっともパリッシュが出し渋っている姿勢を示しているだけにあまり期待はできないが。補強の展望なんかは追々ブログで書ければと思います。

 

 

年末まで残り3戦。どの試合も負けるつもりはないけど、残りの相手がシティ、カーディフチェルシーなので、カーディフ戦で確実に勝ち点3は取っておきたい。いずれにせよブライトン、レスター戦はあまりいい気持がしない敗戦だったので一安心。ケリーがだいぶ良かったので、トムキンスとケリーどっちがスタメンに躍り出るかも次節は注目したいところだ。

 

 

 

【了】

 

 

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【採点】クリスタルパレス対バーンリー

 

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クリスタルパレスは12月1日、プレミアリーグ第14節でバーンリーと対戦。ホームスタジアムのセルハーストパークで行われた一戦となった。

 

直近8試合で勝ち星をあげられていないパレス。17位、という残留圏内ギリギリの順位から考えても、どうしても負けられない1戦であった。前節のマンチェスターユナイテッド戦からのメンバー変更はなかった。

 

立ち上がりから積極的に攻勢を強めるパレス。まずは前半9分、クヤテのパスを受けたマイヤーがペナルティエリア付近左からミドルシュート。しかしこれは相手GKジョー・ハートの好セーブに阻まれた。

 

試合が動いたのは前半16分。マッカーサーが右サイドからグラウンダーのクロスを上げると、このクロスが直接ゴールに吸い込まれる。パレスが先制に成功した。

 

勢いを更に強めるパレスは前半35分にもチャンス。ペナルティエリア内で勝負を仕掛けたマイヤーが敵を揺さぶり、左足でシュート。これは惜しくも枠の右に外れた。

 

後半に入っても、ペースは完全にパレス。1-0で迎えた後半、48分に決定機が訪れる。エリア内で仕掛けたザハが至近距離からシュートを放つも、またもやハートがスーパーセーブ。なかなか点差を広げられない。

 

なおもパレスのチャンスは続く。53分、タウンゼントのパスを受けたザハがゴール前へ猛進。ペナルティエリア外からミドルシュートを放つも、惜しくも枠の上へ外れる。

 

そして77分、待望の追加点を挙げる瞬間が訪れる。右サイドでボールを受けたタウンゼントがそのままカットイン。左足を振り抜くと、ボールはそのままサイドネットへ。月間ベストゴールにノミネートされてもおかしくないゴラッソで、2-0と差を広げ、勝敗を決定づけた。

 

試合はそのまま終了し、2-0でパレスが勝利。ホームで今シーズン初の勝ち点3をゲットすることができた。次節、パレスはアウェーで「宿敵」ブライトンと対戦する。

 

【選手採点】

 

 

GK ウェイン・ヘネシー…6.0

 

相手枠内シュートが0だったこともあり、ほとんど出番はなし。クロス等のハイボール処理は安定していた。

 

 

 

CB ママドゥ・サコ…7.0

 

安定の寄せの速さに加え、彼自身の武器の1つである縦パスも冴え渡っていた。押し込める展開では、彼のビルドアップがより活きる。

 

CB ジェームズ・トムキンス…7.0

 

巨漢FWウッド相手に空中戦で殆ど負けることなく、相手のクロスを跳ね返し続けた。

 

LB パトリック・ファン=アーンホルト…7.5

 

押し込める展開が続いたこともあり、彼の攻撃力が際立っていた。中に、外に様々な所に顔を出してチームの攻撃を底上げした。

 

RB アーロン・ワン=ビサカ…7.0

 

左サイドのレノンやブレイディに殆ど仕事をさせなかった。ただ、攻撃面ではクロスのバリエーションや精度が課題と感じる場面も。

 

CM ルカ・ミリヴォイェヴィッチ…6.5

 

中盤の要としてチームに落ち着きをもたらしただけでなく、この日は積極的に攻撃参加。ただ、57分の決定機は決めて欲しかった。

 

CM シェイク・クヤテ…7.5

 

持ち味のフィジカルを活かし、中盤で攻守の起点に。この日はセカンドボール回収能力が抜群だった。後は雑さがなくなれば…。影のMOM。

 

 

LM マックス・マイヤー…8.0

 

文句なしのMOM。視野の広さ、基礎技術の高さを遺憾なく中央で発揮した。何よりも前の意識が強くなってきたことが嬉しい。

 

RM ジェームス・マッカーサー (78分out) …7.5

 

クロスがゴールに入ったのはたまたまだと思うが、マッカ本人からすれば嬉しい今季初ゴール。持ち味の対人守備やハードワークも目立っていた。

 

CF ウィルフレッド・ザハ …7.0

 

ワイドに開いても、中央に陣取っても、攻撃の起点として機能。あとはゴールを決めていれば完璧だった。キーパーがハートでなければ、1点は入っていただろうが…。

 

CF アンドロス・タウンゼント (87分out)…7.5

 

衝撃のゴラッソでこの日の勝敗を決定づけた。ザハとの連携も日増しに向上。2人でバーンリーDF陣を切り裂く場面も。

 

 

LM ジェフリー・シュルップ (78分in)… 6.0

 

守備でのアグレッシブさを求められる投入。与えられたタスクは果たしたが、クロスなどの雑さが目立った印象。

 

 

CF アレクサンダー・セルロート(87分in)…出場時間が短いため評価不能

 

 

監督 ロイ・ホジソン… 6.5

 

ここに来てメンバーを完全に固定。ボールを支配できる相手に対し、いかにうまく立ち振る舞えるか、というプランを披露してみせた。12月以降、中3日のゲームが続く中で、どのようにメンバーを回していくのか注目したい。

 

 

【独り言】

 

 

マイヤーがいなかったらきっと、こんなにうまくいかなかっただろうな、という試合。やはり彼のリンクマンとしての能力は卓越したものがあるし、それを相手のゴールに近い位置で示していたのが良かった。ボールを保持される強豪相手には多少の工夫が必要だとは思うが、バーンリー戦のような、自分達が主導権を握れる展開になるのであれば、間違いなく彼は必要。あそこまで俯瞰して、味方の位置を見れる選手はなかなかいないと思う。連携が更に深まったらもっと面白くなりそう。

 

そして個人的に影のMOMだと思っているのがクヤテ。どちらかというとフィジカルを前面に押し出したハードワーカー、というイメージだったが、この日の彼のセカンドボール回収率はかなりのものだった。バーンリーの守備が正直ルーズだったっていうのもあるにしても、この試合の彼はマイヤーと並んで中盤の支配者だった。彼の良さをまた1つ見つけられた気がして嬉しい。キャバイェとは違うタイプだというのは既に織り込み済なので、彼にしか出せない良さをどんどん見せつけて欲しいし、チームで共有してほしい。パスと判断の雑さはもちろん改善の余地があるけども。

 

次節は負けられないダービー、ブライトン戦。今季のブライトンの試合をチェックしていないから何とも言えないけれど、今のチームには強豪との連戦を通して、確実にどのチームでも「やれる」自信がついてきている。ただ一筋縄では行かない相手だけに、ホジソンの選手起用が鍵を握る展開になりそう。見づらい時間帯(早朝k.o)なのが残念だけど、眠気を吹き飛ばす熱い試合を期待したい。

 

 

【了】

 

 

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