【選手紹介】パレスを救う救世主に。ミシー・バチュアイの素顔に迫る
1月31日、冬の移籍市場閉幕直前に1人の‘’英雄‘’がクリスタルパレスに加入した。
“バットマン”ことベルギー代表FWミシー・バチュアイだ。
ストライカー陣の得点力不足に悩むパレスだが、彼の加入は果たしてパレスにどのような影響を及ぼすのか。"救世主"となる可能性を秘めた彼の素顔に迫っていく。
基本情報
国籍…ベルギー
生年月日…1993年10月2日
出身地…ベルギー・ブリュッセル市
身長…180cm
体重…78kg
ポジション…FW
キャリア
ブリュッセルFCとRSCアンデルレヒトの下部組織でプレーした後、2008年にスタンダール・リエージュへ加入。2011年2月20日に行われたKAAヘント戦でトップチームデビューを果たすと、2013-14シーズンにはジュピラー・プロ・リーグで21得点を記録し、得点王になった。
2014-15シーズンには移籍金600万ユーロでリーグ・アンのオリンピック・マルセイユに加入。翌シーズンにはリーグ戦で得点ランキング4位タイの17ゴールを挙げる活躍を見せた。
そして2016年7月に移籍金3900万ユーロで現所属元のチェルシーFCへ5年契約で移籍。シーズン初年度はジエゴ・コスタから1トップのポジションを奪えずベンチを温める日々が続いていたが、2017年5月12日のWBA戦では決勝点となるゴールを決め、プレミアリーグ優勝を決定づけた。翌シーズンには主力だったジエゴ・コスタが退団したもののレアルマドリードからアルバロ・モラタが加入。先発の座を確保することができなかった。
そして2017-18シーズンの後半にはボルシア・ドルトムントへレンタル移籍。今シーズンは1年間のレンタル移籍という形でバレンシアCFへ再びレンタル移籍するものの、23試合3ゴールと結果を出せずに半年でレンタルを打ち切りに。残りのシーズン半分をパレスで過ごすこととなった。
また、ベルギー代表では2015年3月28日のEURO2016予選、キプロス戦に途中出場してデビューを飾ると、その試合で代表初ゴールを記録。2018年FIFAワールドカップロシア大会では、1次リーグ第2戦チュニジア戦で1ゴールを決めた。
なぜパレスはバチュアイを欲したのか?
ではなぜパレスはバチュアイを今冬の移籍市場で獲得したのだろうか?その謎を探るべく今季前半のパレスのストライカー陣の出来を振り返っていく。
ロイ・ホジソン体制2年目となるパレスは、昨年から継続して個の能力の高い選手に依存した攻撃と堅守をベースにしたサッカーを披露。リーグ序盤戦は4-4-2をベースにしており、攻撃面では大黒柱ウィルフレッド・ザハの相棒争いが注目されていた。
開幕節から4試合連続でザハの相棒を務めたのはクリスティアン・ベンテケ。持ち前のフィジカルを生かしたポストプレーでチームの攻撃を活性化させる助けにはなったものの、昨季から続く深刻な決定力不足は解消されず。第4節のサウサンプトン戦で膝の靭帯を負傷し長期離脱を余儀なくされた。
今夏スウォンジーから移籍したジョーダン・アユ―はベンテケの穴を埋める存在としてしばらくの間先発起用されるも、無駄なボールロストと決定率の低さからファンと監督の信頼を完全には得られず。1番期待されるのが相手選手への執拗なプレスとなってしまうくらい、前半戦はストライカーとしては残念な出来に終わってしまった。
昨冬鳴り物入りで加入したノルウェーの大砲アレクサンダー・セルロートはリーグ戦で全くいいところなく今冬の移籍市場でベルギーのヘントにレンタル移籍。早熟の天才コナー・ウィッカムはFAカップ、スパーズ戦で得点を記録し復活の狼煙を挙げたかに見えたが再び負傷し戦線離脱。シーズンのある時期にはウイングを主戦場としているザハとアンドロス・タウンゼントが2トップを組む試合も観られるようになり 、チームのストライカー陣をもはや頼ることができない状況まで追い込まれてしまったこともあった。
そんなストライカー陣の不調を救うべく現れたのがかつて同じ街でプレーしていた経験もある“英雄”だったのだ。
プレースタイル
バチュアイのゴール集⇩
パレスでは基本的に[4-3-3]の3トップの一角として出場。身体能力が高く、バランスが崩れても強引にシュートを枠内に打つことができる。ライン間での駆け引きが得意であり、相手のセンターバックの間を一瞬の加速で抜き去りシュートまで持ち込める。またボックス内では純粋な高さ勝負で勝つ場面はあまり見られないものの、絶妙のポジショニングでフリーになれる間合いを取り、フィニッシュまで持ち込むことができる。
4-1で快勝した先日のレスター戦ではリーグ戦初先発を果たすと、ジェームス・マッカーサーのシュートコースを変えてパレスでのリーグ戦初得点を記録。バチュアイの驚異的な反射神経が凝縮された1点だったといえるだろう。
ただバチュアイは下がってボールを受けたがるタイプでは決してないため、ボールが前線まで回ってこない際に孤立する場面があるのも事実。また前線のプレスを積極的に行うのをあまり好まないため、ファーストディフェンダーとして守備のスイッチを入れる役割を期待することはできないだろう。
バチュアイの今後
前節のレスター戦の得点や他のストライカーの不調さも相まって、今後1トップの位置での先発機会が増えると予想。パレスへの完全移籍を望む声が現地サポの間でも高まっているが、先日所属元のチェルシーが来季補強禁止になるという憂き目に。買い取りオプションが付いていないレンタル移籍のため、来季以降の所属先はパレス側、というよりは相手側の事情によって変動することになるだろう。
小ネタ
” バットマン”の異名がついている彼はスパイクにコウモリ柄のデザインを入れている。またスパイクのスペアにはアディダスのF50アディゼロ FG LEAを使用している。これは2011年頃に発売されていたやや古いモデルである。
【了】